自動車メーカーの2025年4月~12月期の決算が出揃った。
2024年は好調だった自動車業界も2025年は中国メーカーのEVの勢いや、トランプ政権の影響で各社どのような見通しを示すかが注目される。
中間決算では米国の販売奨励金の増加やHVの売れ行き好調などがトピックとして上がったが、今回はどのようなトピックが上がるのか。主要自動車メーカー7社を比較して、業界動向を解説する。
全体傾向
・HV人気
中間決算から引き続き、北米においてHV人気が継続している。
背景はEVの高価格帯水準のモデルが多く、敬遠されていること。その中でも、環境にいい車を求めていることだ。
トヨタ、ホンダはこの影響で、HVの売上の割合が上昇しており、HVのみ設定するモデルも発売の予定があるほどだ。
この人気はEVの価格が一般の消費者に届く価格帯になるまで継続するとみられる。
・販売奨励金の増加
主に北米において販売奨励金が増加している。北米ではHVが人気となっているため、HVのラインナップが充実しているメーカーは販売奨励金の増加は激しくないが、HVのラインナップが少ないメーカーでは販売奨励金が利益を圧迫している。
・中国市場の競争激化
中国市場ではBYDなどの地場メーカーが自動車市場に数多く進出しており、競争が激化している。そのうえ、市場のEVが占める割合が比較的多く、EVのラインナップが少ないメーカーでは販売台数、売り上げの減少がみられる。
・ASEAN市場の成長鈍化、競争激化
ASEANでも中国同様、中国メーカーが数多く参入しており、日本の自動車メーカーのシェアを奪っている。
トヨタ
2024年4月~12月の業績概要(トヨタ自動車)
- 売上高:35兆6,735億円(前年同期比+4.9%)
- 営業利益:3兆6,794億円(前年同期比-13.2%)
- 経常利益(税引前利益):5兆4,300億円(前年同期比+1.4%)
- 営業利益率:10.3%(前年同期は12.5%)
地域別業績
- 日本
- 営業収益:16兆3,063億円(前年同期比+1.0%)
- 営業利益:2兆3,370億円(前年同期比-13.0%)
- 北米
- 営業収益:14兆4,015億円(前年同期比+6.2%)
- 営業利益:1,721億円(前年同期比-66.7%)
- 欧州
- 営業収益:4兆5,197億円(前年同期比+8.1%)
- 営業利益:3,731億円(前年同期比+30.7%)
- アジア
- 営業収益:6兆7,934億円(前年同期比+1.7%)
- 営業利益:6,852億円(前年同期比+5.5%)
- その他地域(中南米、オセアニア、アフリカ、中東など)
- 営業収益:3兆3,554億円(前年同期比+6.1%)
- 営業利益:1,796億円(前年同期比-9.7%)
注目ポイント
- 販売台数の減少
日本での販売台数は前年同期比-10.8%、海外市場全体でも-2.1%の減少。日本国内の減少が特に顕著。 - 営業利益減少の要因
諸経費の増加(-5,900億円)、販売台数減少(-1,650億円)、為替変動によるプラス影響(+4,900億円)が主な要因。 - 欧州での収益改善
原価改善の努力により欧州では営業利益が前年同期比+30.7%増。
本田技研工業
本田技研工業株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上収益: 16兆3,287億円(前年同期比+8.9%)
- 営業利益: 1兆1,399億円(前年同期比+5.9%)
- 税引前利益: 1兆2,255億円(前年同期比-3.1%)
- 営業利益率: 7.0%(前年同期は7.2%)
地域別業績
- 日本
- 営業収益:2兆955億円
- 営業利益:236億6,000万円
- 北米
- 営業収益:9兆7,661億円
- 営業利益:473億4,000万円
- 欧州
- 営業収益:6,428億3,000万円
- 営業利益:13億8,500万円
- アジア
- 営業収益:2兆9,217億円
- 営業利益:334億2,600万円
- その他地域
- 営業収益:9,027億8,000万円
- 営業利益:132億4,100万円
注目ポイント
- 二輪事業の成長
売上増加。全体収益成長の牽引役。 - 税引前利益の減少要因
持分法投資損益の減少。収益低下の主因。 - 為替効果の寄与
為替換算による収益増加。全体的なプラス影響。
日産自動車
日産自動車株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上高: 9兆1,432億円(前年同期比-0.3%)
- 営業利益: 640億円(前年同期比-86.6%)
- 経常利益: 1,594億円(前年同期比-70.5%)
- 営業利益率: 0.7%(前年同期は5.2%)
地域別業績
- 日本
- 営業収益:1兆4,884億円
- 営業利益:121億2,170万円
- 北米
- 営業収益:4兆9,933億円
- 営業損失:62億1,700万円
- 欧州
- 営業収益:1兆543億円
- 営業損失:67億9,950万円
- アジア
- 営業収益:4,990億9,900万円
- 営業利益:41億2,120万円
- その他
- 営業収益:1兆1,076億円
- 営業損失:4億2,630万円
注目ポイント
- 販売台数の減少
グローバル小売台数が前年同期比で1.8%減の239万7千台 - 利益減少の要因
販売奨励金増加とインフレーションの影響で営業利益が大幅減 - 事業構造再構築計画
グローバル生産能力の20%削減や人員削減を含む「スリムで強靭な事業構造」への移行
スズキ
スズキ株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上収益: 4兆2,837億円(前年同期比+11.7%)
- 営業利益: 4,797億円(前年同期比+29.2%)
- 税引前利益: 5,480億円(前年同期比+25.9%)
- 営業利益率: 11.2%
地域別業績
日本
- 営業収益: 2兆1,631億円
- 営業利益: 2,238億円
欧州
- 営業収益: 5,958億円
- 営業利益: 83億円
アジア
- 営業収益: 2兆4,013億円
- 営業利益: 2,263億円
その他地域
- 営業収益: 3,382億円
- 営業利益: 85億円
注目ポイント
- 販売台数の増加
販売台数が前年同期比で増加。特にインド市場での拡大が顕著。 - 価格改定と原価低減効果
価格改定による売上増加。固定費の増加を原価低減でカバー。 - 為替影響
為替変動のプラス効果で収益が押し上げられる結果に。
この記事作成の参考になれば幸いです。さらに必要な情報があればお気軽にお知らせください!📊✨
マツダ
マツダ株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上収益: 3兆6,894億円(前年同期比+3.4%)
- 営業利益: 1,483億円(前年同期比-25.9%)
- 経常利益: 1,568億円(前年同期比-34.4%)
- 営業利益率: 4.0%
地域別業績
日本
・営業収益:698,945百万円
・営業利益:28,405百万円
北米
・営業収益:2,062,521百万円
・営業利益:58,796百万円
欧州
・営業収益:505,610百万円
・営業利益:12,404百万円
その他地域
・営業収益:422,343百万円
・営業利益:17,594百万円
注目ポイント
- 販売台数の増加
北米市場の販売台数が好調に推移し、グローバル販売台数は前年同期比+4.0%増。 - 営業利益減少要因
販売奨励金や原材料費の増加が収益に影響を与え、営業利益を押し下げる結果に。 - 為替のプラス効果
為替変動により収益が増加し、マイナス要因を一部補完。
三菱自動車
三菱自動車工業株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上収益: 1兆9,893億円
- 営業利益: 1,046億円
- 経常利益: 785億円
- 営業利益率: 5.3%
地域別業績
日本
- 営業収益: 4,422億円
- 営業利益: -86億円
北米
- 営業収益: 5,299億円
- 営業利益: 502億円
欧州
- 営業収益: 758億円
- 営業利益: 55億円
アジア
- 営業収益: 4,217億円
- 営業利益: 243億円
オセアニア
- 営業収益: 2,350億円
- 営業利益: 191億円
その他地域
- 営業収益: 2,847億円
- 営業利益: 141億円
注目ポイント
- 北米市場での収益改善
販売台数の増加が収益を押し上げ、北米市場は引き続き主力地域。 - アジア市場の安定した利益貢献
ASEAN地域の販売が好調であり、営業利益に大きく寄与。 - コスト増加が影響
原材料費や為替の影響により、全体の営業利益率が減少。
スバル
スバル株式会社 2024年4~12月業績要約
- 売上収益: 35,363億円(前年同期比+399億円増)
- 営業利益: 3,692億円(前年同期比-18億円減)
- 税引前利益: 4,260億円(前年同期比+98億円増)
- 営業利益率: 10.4%
地域別業績
日本
・営業収益:6,878億円
・営業利益:2,961億円
北米
・営業収益:27,672億円
・営業利益:1,113億円
その他地域
・営業収益:814億円
・営業損失:-1億円
注目ポイント
- 販売台数の減少
連結完成車販売台数は707千台で、前年同期比3.8%減。特に北米市場とオーストラリア市場での減少が影響。 - 為替効果の寄与
円安により1,126億円の増益要因。米ドル、ユーロ、カナダドルのレート上昇が主な要因。 - 営業利益減少の要因
販売奨励金の増加や原材料コストの上昇が響き、営業利益は前年同期比でわずかに減少。
まとめ
自動車メーカーの4月~12月の決算を比較しました。100年に1度の変革期といわれる自動車業界の中で好調なメーカーと、不調なメーカーに分かれた印象があります。
トランプ政権の関税問題もあり、先が読めない自動車セクターですが、投資対象を考えるうえでの一助となればうれしいです。
コメント